配当政策
企業と金融・資本市場に関する摩擦のない完全資本市場の前提の下では、配当を支払うことの必要性を証明するのは非常に困難です。
むしろこの問題は、「望ましい配当政策」や「最適な配当政策」はどのようなものなのか、ということになります。

完全な金融・資本市場においては、多くの配当を支払うことも、配当を支払わずに内部留保として企業に残しておくことも「株主資本=総資産-負債」といった前提の下では、株主にとっての企業価値は影響を与えない、ということが証明されています。
つまり、完全資本市場を前提にすると、企業の配当政策は株価に影響を与えないという結論になりますが、現実の世界では、税制、投資家の嗜好(顧客効果)、情報効果などによって配当が株価に影響を与える可能性があります。
したがって、企業は財務政策の一環として配当政策をしっかりと決定し、投資家に開示する必要があります。

これまで、日本では、株主割当による額面発行増資が一般的であったため、配当について論じる際は株式額面に対していくらの配当金が支払われるかを表す配当率が一般的に用いられました。
また配当率の安定性(経営成果の変動にかかわらず一株あたりの配当金を低位で安定的に支払うこと)が重視されてきました。
しかし、今日では時価発行増資が主流となり、収益性などに関する企業評価でも時価が重要視されているため、配当率の持つ意味合いは薄れています。
日本においても税引後当期純利益のうち配当へ配分される割合を表す配当性向の重要性が増しており、株主に対する利益還元策としての配当政策を投資家に開示する必要があります。
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